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交通事故は「秋」に増加傾向。通勤時の事故の原因と防止方法は?

交通事故は「秋」に増加傾向。通勤時の事故の原因と防止方法は?

警察庁の統計によると、2025年(令和7年)の交通事故死者数2,547人のうち、上半期は1,161人、下半期は1,386人でした。1日当たりでは12月の9.35人が最多で、最少の5月(5.55人)の約1.7倍です。交通事故による死者数が秋から冬にかけて多くなるなかで、企業が押さえておきたいのが「通勤災害」です。本記事では月別データと薄暮時間帯の分析をもとに、通勤時の事故の原因と防止方法を整理します。

秋には交通事故が増える傾向が

まず、警察庁の月別データで、交通事故死者数が秋から冬にかけて多くなる傾向を数字で確認します。なお本章の統計は死者数であり、交通事故の発生件数そのものの月別推移ではない点にご留意ください。

 

月別交通事故死者数のワーストは秋・冬

警察庁「令和7年中の交通事故死者について」の月別データは次のとおりです。日数差を除くため1日当たり死者数を併記します。

[表1]月別交通事故死者数と1日当たり死者数(2025年/令和7年)

月死者数(人)1日当たり死者数(人)
1月2347.55
2月1896.75
3月1916.16
4月1966.53
5月1725.55
6月1795.97
7月1855.97
8月2036.55
9月2297.63
10月2277.32
11月2528.40
12月2909.35
年間合計2,5476.98

出典:警察庁「令和7年中の交通事故死者について(2 月別交通事故死者数の推移)」をもとに作成。令和7年の数値は12月末現在の速報値であり、今後変更される場合があります。

1日当たり死者数の上位は、12月(9.35人)、11月(8.40人)、9月(7.63人)、1月(7.55人)、10月(7.32人)の順です。9月から12月の4か月がいずれも上位に入り、上半期1,161人に対して下半期は1,386人と225人多くなっています。なお、この統計は死者数のみを対象としており、負傷者を含む死傷者数の月別内訳ではありません。

 

秋・冬に交通事故が増える理由

この時期に死者数が多くなる背景を説明する手がかりが、警察庁「薄暮時間帯における交通事故防止」の分析です。薄暮時間帯とは日の入り時刻の前後1時間をいいます。令和3年から令和7年の交通死亡事故12,844件のうち、薄暮時間帯の発生は1,555件でした。

同分析によると、死亡事故は17時台から19時台に多く発生しており、薄暮時間帯の死亡事故を月別にみると7月以降は増加傾向に転じ、特に10月から12月にかけて最も多く発生しています。秋以降に日の入り時刻が早まり、薄暮時間帯が退勤・帰宅の時間帯と重なることが背景にあります。

警察庁は、この時間帯に事故が多い理由として、周囲の視界が徐々に悪くなり、自動車や自転車、歩行者の発見が互いに遅れたり、距離や速度が分かりにくくなることを挙げています。事故は自動車と歩行者の衝突が最も多く、類型別では横断中が約8割、横断場所は横断歩道以外が約7割で、その歩行者の約7割に法令違反があるとされています。

【図版・参考】警察庁「薄暮時間帯における交通事故防止」に、時間帯別・月別の死亡事故件数のグラフ(令和3年〜令和7年)が掲載されています。引用可能な図として、記事内への掲載をご検討ください。(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/hakubo.html /図:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/img/hakubo/7-1.pdf )出典表記は「警察庁『薄暮時間帯における交通事故防止』」。

 

「通勤災害」のリスクと防止方法

通勤中の事故は労災保険上の「通勤災害」です。制度上の要件を押さえ、企業として取るべき防止策を整理します。

 

通勤災害の企業側のリスクとは

通勤災害とは、労働者が通勤により被った負傷、疾病、障害または死亡をいいます。ここでいう「通勤」は、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものは除かれます。

[表2]労災保険法上の「通勤」の要件

要件内容
就業に関し住居と就業の場所との往復行為が業務と密接な関連をもって行われること
住居労働者が居住して日常生活の用に供し、就業の拠点となる場所
就業の場所業務を開始し、または終了する場所(直行直帰の届け先等を含む)
合理的な経路及び方法一般に用いると認められる経路および手段等。複数あってもいずれも合理的な経路となる
業務の性質を有するものを除く事業主の提供する専用交通機関での出退勤、緊急呼び出しによる出勤等は業務災害として扱われる
逸脱・中断通勤と関係のない目的で経路を外れる、または経路上で通勤と関係のない行為を行った場合、原則としてその間およびその後は通勤とされない

出典:厚生労働省 石川労働局「通勤災害とは」をもとに作成。

企業側が押さえるべき点は2つあります。1つは、通勤災害が発生すれば労災保険給付の請求手続きに事業主として対応する必要があり、休業により人員が欠けるという直接的な影響が生じることです。もう1つは、通勤の外形をとっていても「業務の性質を有するもの」に当たれば業務災害として扱われる点です。事業主が提供する送迎車での通勤や、休日の緊急呼び出しによる出勤が該当します。自社の通勤形態がどちらに当たるのかを整理しておく必要があります。

通勤災害の防止方法

第一に、通勤経路と通勤方法の把握です。通勤災害の成否は「合理的な経路及び方法」によるかで判断されるため、従業員の通勤経路・手段を届出で把握しておくことは、災害発生時の対応や危険箇所の共有の前提となります。

第二に、秋・冬に特有のリスクに的を絞った注意喚起です。警察庁は薄暮時間帯の対策として、前照灯の早め点灯と、速度を落として周囲に一層注意した慎重な運転を挙げています。徒歩や自転車で通勤する従業員には、明るい目立つ色の衣服の着用や、靴・衣服・カバン等への反射材・ライトの装着が有効です。日の入り時刻が早まる9月以降、退勤時間帯に合わせて周知するとよいでしょう。

第三に、教育手法の応用です。厚生労働省「交通労働災害防止のためのガイドライン」は業務中の運転を対象としたものですが、示されている手法は通勤時の安全意識づくりにも応用できます。イラストシートや写真で潜在的危険性を予知させる「交通危険予知訓練」や、交通事故発生情報・ヒヤリ・ハット事例をもとに危険箇所と注意事項を示す「交通安全情報マップ」の作成・配布は、通勤経路の危険箇所の共有にそのまま使えます。

 

通勤時の危険を「自分ごと」にする安全教育へ

2025年の交通事故死者数は1日当たりでみると12月・11月・9月の順に多く、交通事故による死者数は秋から冬にかけて多くなる傾向があります。背景には、日の入り時刻が早まり薄暮時間帯が退勤・帰宅の時間帯と重なる構造があり、実際に薄暮時間帯の死亡事故は10月から12月にかけて最も多く発生しています。通勤災害は労災保険の給付対象であると同時に、企業にとっては人員の欠員や手続き対応を伴う課題でもあります。

ただし、通勤は業務時間外の行動であり、管理者の目が届きません。だからこそ、注意喚起を「聞いた」だけで終わらせず、危険を実感として持ち帰ってもらう教育が求められます。薄暮時間帯に歩行者の発見が遅れる感覚は、言葉で説明するより体験するほうが確実に伝わります。明電システムソリューションでは、危険を疑似体験できる「明電VR安全体感教育」を提供しています。通勤災害の防止に向けた安全教育の手段としてご検討ください。

■参考・出典一覧

題名媒体名著者・運営元名URL
令和7年中の交通事故死者について(2 月別交通事故死者数の推移)e-Stat 政府統計の総合窓口警察庁https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?toukei=00130002&tstat=000001032793
薄暮時間帯における交通事故防止警察庁Webサイト警察庁https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/hakubo.html
通勤災害とは石川労働局Webサイト厚生労働省 石川労働局https://jsite.mhlw.go.jp/ishikawa-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/rousai_hoken/hourei_seido/kyufu/kyufu05.html
交通労働災害防止のためのガイドライン職場のあんぜんサイト厚生労働省https://anzeninfo.mhlw.go.jp/information/koutsuu-guideline_h30.pdf
明電VR安全体感教育(明電の安全ソリューション)明電システムソリューション株式会社明電システムソリューション株式会社https://www.meidensha.co.jp/mss/

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