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なぜ「不安全行動」を行ってしまうのか。原因と安全教育の重要性

なぜ「不安全行動」を行ってしまうのか。原因と安全教育の重要性

厚生労働省「労働災害原因要素の分析(平成22年)」によれば、労働災害発生原因全体の96.4%が、労働者の不安全な行動に起因しています。しかし現場では、危険だと分かっていながら不安全行動が繰り返されるのが実情です。本記事では、厚生労働省「職場のあんぜんサイト」の安全衛生キーワードをもとに、不安全行動と不安全状態の定義、不安全行動が起きる原因、そして防止のための安全教育のポイントを整理します。

危険な行動「不安全行動」とは

まず、不安全行動の定義と、対になる概念である「不安全状態」を押さえます。両者を区別できると、自社で発生した労働災害の原因を切り分けやすくなります。

 

「不安全行動」とは

厚生労働省は、不安全行動を「労働者本人または関係者の安全を阻害する可能性のある行動を意図的に行う行為」と定義しています。ポイントは「意図的」である点です。自らとった行動が意図しない結果をもたらすことは「ヒューマンエラー」と呼ばれ、不安全行動とは区別されます。

不安全行動の背景には、手間や労力、時間やコストを省くことを優先する判断があります。「これくらいは大丈夫だろう」「面倒くさい」「皆がやっているから」「(作業を早く進めるためには)仕方がない」といった考えや、「長年経験しているから大丈夫」「自分が事故を起こすはずはない」といった慣れ・過信から、「あるべき姿」を逸脱する安易な行動がとられた結果、労働災害に発展するケースが少なくありません。

 

「不安全状態」も併せて覚えよう

労働災害の原因は、労働者の不安全行動だけではありません。機械や物の「不安全状態」、すなわち事故が発生しうる状態、また事故の発生原因が作り出されている状態も原因になると考えられています。厚生労働省は、不安全行動の類型として12項目を、不安全状態として8項目を挙げています。

[表1]不安全行動(12項目)と不安全状態(8項目)の類型

労働者の不安全行動(12項目)機械や物の不安全状態(8項目)
1 防護・安全装置を無効にする1 物自体の欠陥
2 安全措置の不履行2 防護措置・安全装置の欠陥
3 不安全な状態を放置3 物の置き方、作業場所の欠陥
4 危険な状態を作る4 保護具・服装等の欠陥
5 機械・装置等の指定外の使用5 作業環境の欠陥
6 運転中の機械・装置等の掃除、注油、修理、点検等6 部外的・自然的不安全な状態
7 保護具、服装の欠陥7 作業方法の欠陥
8 危険場所への接近8 その他
9 その他の不安全な行為―
10 運転の失敗(乗物)―
11 誤った動作―
12 その他―

出典:厚生労働省「職場のあんぜんサイト 安全衛生キーワード:不安全行動」をもとに作成。

なぜ危険だと分かっていても不安全行動を行ってしまうのか

不安全行動は、労働者個人の資質だけの問題ではありません。統計上の位置づけと、行動を誘発する要因の両面から構造を確認します。

 

不安全行動の原因

厚生労働省「労働災害原因要素の分析(平成22年)」では、労働災害発生の原因が次の4区分に整理されています。

[表2]労働災害発生の原因の内訳

区分割合
① 不安全な行動及び不安全な状態に起因する労働災害94.7%
② 不安全な行動のみに起因する労働災害1.7%
③ 不安全な状態のみに起因する労働災害2.9%
④ 不安全な行動もなく、不安全な状態でもなかった労働災害0.6%
①+②(労働者の不安全な行動に起因するもの)96.4%

出典:厚生労働省「労働災害原因要素の分析(平成22年)」(「職場のあんぜんサイト 安全衛生キーワード:不安全行動」に掲載の数値)をもとに作成。

①と②を加えると、労働災害発生原因全体のうち96.4%が、労働者の不安全な行動に起因する労働災害ということになります。そのうえで厚生労働省は、不安全行動を誘発する要因として、①労働者の要因、②作業の要因、③作業環境の要因、④安全管理の要因、⑤組織の要因を挙げています。不安全行動は、これらのうち一つの要因に起因するばかりでなく、複数の要因が絡み合って発生すると考えられています。

 

「分かっていてもやってしまう」理由とは

重要なのは、不安全行動による労働災害は、労働者の心構えや意識だけでは防止できないという点です。その不安全行動が、管理・監督の不徹底や、設備・環境面の欠陥によってもたらされることも少なくないためです。

また、不安全行動は作業行動の「あるべき姿」からの逸脱ですが、その「あるべき姿」たる作業標準(作業手順)が明確に定められていなかったり、定められていても十分な安全教育が行われていなかったりしたために不安全行動が起き、労働災害が発生した事例もあります。「分かっていてもやってしまう」の背景には、何が正しい手順なのかが現場に共有されていないという組織側の課題が潜んでいます。

 

不安全行動を防止する安全教育とは

不安全行動の防止は、注意喚起の反復ではなく基準づくりと対策の切り分けから始まります。安全教育のポイントを3つに整理します。

 

「あるべき姿」=作業標準を明確に定める

不安全行動が「あるべき姿」からの逸脱である以上、まずは逸脱を判定する基準となる作業標準(作業手順)を明確に定めることが出発点になります。作業標準が曖昧なままでは、安全教育で教える内容も、現場で是正すべき対象も定まりません。

 

「教えたつもり」で終わらせず、日常の作業で実践・是正する

安全教育は、教えたつもりでいても、教えた内容が労働者に十分伝わっていなければ意味がありません。教えた内容を日常の作業過程において実践させ、不安全行動をとったらすぐに是正させながら、「あるべき姿」を身に付けさせることが必要です。

 

12項目のそれぞれについて対策を切り分ける

不安全行動を防止するには、前掲の12項目それぞれについて個別に対策を考える必要があります。例えば「防護・安全装置を無効にする」「安全措置の不履行」は、教育、指導や監督の徹底によって防止が可能です。一方で「不安全な状態を放置」「危険な状態を作る」は、設備や作業環境の改善、さらには人間工学的な観点からの配慮が必要です。加えて、職場におけるよき人間関係の醸成や、労働時間・休日・休憩といった労働条件の適正化など、労務管理の観点からも考えなければなりません。安全教育で解決できる範囲と、設備・環境や労務管理で解決すべき範囲を切り分けることが、実効性のある防止につながります。

 

安全教育を「自分ごと」にするVRの活用

不安全行動は意図的に行われる行為であるため、知識を伝えるだけでは止まりません。作業標準の明確化、日常作業での実践と即時是正、そして12類型ごとの対策の切り分けを組み合わせることが、防止の基本となります。

一方で、座学や動画による一方向の教育では、危険が「自分ごと」になりにくいという課題が残ります。「これくらいは大丈夫だろう」という判断を変えるには、その先に何が起きるのかを疑似体験し、危険を実感できる仕組みが有効です。近年はこの観点から、VR(仮想現実)を活用した体験型の安全教育が広がっています。明電システムソリューションでは、危険を疑似体験できる「明電VR安全体感教育」を提供しています。安全教育の実効性を高める手段としてご検討ください。

■参考・出典一覧

題名媒体名著者・運営元名URL
職場のあんぜんサイト:不安全行動[安全衛生キーワード]職場のあんぜんサイト厚生労働省https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo90_1.html
労働災害原因要素の分析(平成22年)職場のあんぜんサイト厚生労働省https://anzeninfo.mhlw.go.jp/
明電VR安全体感教育(明電の安全ソリューション)明電システムソリューション株式会社明電システムソリューション株式会社https://www.meidensha.co.jp/mss/

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