VR安全体感教育

安全教育の新常識「体験型学習」が注目される理由とは?

安全教育の新常識「体験型学習」が注目される理由とは?

安全教育では、事故を実際に経験させて危険を学ばせるわけにはいきません。だからこそ、ルールや知識に加え、現場に潜む危険を具体的に捉え、安全な行動を考える教育が求められます。

その方法の一つが、受講者自身が考えたり危険を疑似体験したりする「体験型学習」です。本記事では、KYT(危険予知訓練)、危険体感教育、VRを例に、安全教育へ体験を取り入れる考え方を解説します。

「体験型学習」が注目される理由

体験型学習では、危険を自分で発見し、「現場なら何が起こるか」「どう行動するか」まで考えます。

体験型学習が求められる理由

経験不足を補い、危険を具体的に理解するため

厚生労働省委託の危険体感教育に関する教材では、危険を「見て、聞いて、感じる」ことで直感的な理解を促す考え方が示されています。例えば、荷物を積んだ台車では、積み方や作業者の姿勢によって前方に死角が生じます。「死角が危険」と覚えるだけでなく、「何が見えないか」「その先で何が起こり得るか」を考えることで、危険を具体化できます。

危険を自ら発見・判断する力を養うため

代表例がKYTです。作業場面やイラストを題材に危険を探し、参加者同士で対策と行動目標を決めます。中央労働災害防止協会のKYT基礎4ラウンド法は、危険の発見から具体的な行動までを4段階で整理しています。下図はその流れを示した編集部作成用の図案です。

※参考:中央労働災害防止協会「危険予知訓練(KYT)の進め方」をもとに編集部作成

現実には再現しにくい危険を安全に疑似体験するため

墜落、感電、機械への挟まれなどを、教育のために実際に発生させることはできません。VRなら、こうした危険な状況を仮想空間で疑似体験できます。

体験後は、何が危険だったのか、どの時点で行動を変えるべきだったのかを振り返ります。厚生労働省「職場のあんぜんサイト」のVR教材も、安全衛生の説明、仮想作業場での疑似体験、知識の解説という流れで構成されています。下図はこの構成を基に整理した図案です。

※参考:厚生労働省「職場のあんぜんサイト 各種教材・ツール」をもとに編集部作成。④は記事用の構成として追加。

安全教育における「体験型学習」の例

体験型学習には複数の方法があります。対象者、作業内容、教育目的に合わせて使い分けます。

KYT(危険予知訓練)

KYTは、作業場面から危険要因を探し、参加者同士で対策を考える方法です。特別な機器を必要とせず、日常的な安全活動にも取り入れやすいのが特徴です。

実機・設備を利用した危険体感教育

専用設備などを使い、挟まれ、巻き込まれ、死角などの危険を、安全に配慮した条件で疑似体験します。身体感覚を伴って学べる一方、体験者の安全確保と、体験後の振り返りが前提です。

VRを活用した安全体感教育

2024年に学術誌『Safety Science』に掲載された系統的レビュー・メタ分析では、2013~2021年に公表されたVR安全教育に関する52研究が検討されました。分析対象では、知識の獲得・保持についてVR安全教育が従来型教育を上回る結果が示されています。

ただし、長期的な知識保持を測定した研究は36%でした。VRの効果を一律に断定せず、対象者や教育内容、実施方法に応じて評価する必要があります。

安全教育における主な体験型学習

方法主な特徴活用例
KYT参加者自身が危険を発見し、対策を考える危険予知、安全ミーティング
実機・設備による危険体感身体感覚を伴って危険を疑似体験する挟まれ、巻き込まれ、死角など
VR安全教育仮想空間で危険な状況を疑似体験する墜落、感電、衝突など

※中央労働災害防止協会「危険予知訓練(KYT)」、厚生労働省の危険体感教育関連資料等をもとに作成。

安全教育に「体験」を取り入れる

安全教育に体験を取り入れることで、作業者が危険を発見し、具体的な行動を考える機会をつくれます。

KYT、実機・設備による危険体感、VRにはそれぞれ特徴があります。VRは、現実には再現しにくい事故や災害を仮想空間で疑似体験できる方法です。

明電システムソリューション株式会社の「明電VR安全体感教育」では、墜落、火災、感電、フォークリフトの転覆、挟まれ、窒息、車両との衝突など、さまざまな事故・災害をVRで疑似体験できます。また、事故・災害を体験した後に振り返り学習を行う機能も用意されています。

明電VR安全体感教育は、体験後の振り返りまで含めて学べる点も特徴です。自社の作業内容や教育目的に合う安全教育方法の一つとして、活用を検討してみてはいかがでしょうか。

題名媒体名著者・運営元名URL
危険感受性向上教育 講師養成研修厚生労働省厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/
各種教材・ツール職場のあんぜんサイト厚生労働省https://anzeninfo.mhlw.go.jp/
危険予知訓練(KYT)の進め方中央労働災害防止協会中央労働災害防止協会https://www.jisha.or.jp/
Virtual reality for safety training: A systematic literature review and meta-analysisSafety ScienceScorgie D.ほかhttps://www.sciencedirect.com/
明電VR安全体感教育明電システムソリューション株式会社明電システムソリューション株式会社https://www.meidensha.co.jp/

【編集部向け注記】

図1・図2は、公的資料の内容を参考に編集部作成用として再構成した図案です。官公庁資料の画像そのものの転載ではありません。実際の図版制作時は、参考資料の内容と出典をご確認ください。

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