年末年始やゴールデンウィーク、お盆休みなどの長期休暇後は、通常の勤務に戻る際に、体調、作業手順、設備の状態など複数の確認事項が生じます。厚生労働省が公表した令和7年の労働災害統計では、休業4日以上の死傷者数は13万5,333人、死亡者数は700人でした。
休暇明けに注意が必要なのは、生活リズムの変化、作業手順の再確認、設備の再稼働などが重なり、確認不足が生じるおそれがあるためです。本記事では、最新の一次資料に基づく労働災害の数字を確認したうえで、休暇明けに実施したい安全対策を解説します。
■この記事のポイント
| ①令和7年の労働災害発生状況を数字で確認できる ②休暇明けに見直したい体調・作業手順・設備のポイントが分かる ③KYTや指差呼称、暑熱順化を取り入れた対策を確認できる |
令和7年の労働災害発生状況
休暇明けの安全対策を考える前に、国内で発生した労働災害の状況を数字で確認しましょう。
休業4日以上の死傷者数は13万5,333人

出典:厚生労働省「令和7年における労働災害発生状況(確定値)」
令和7年の休業4日以上の死傷者数は13万5,333人で、前年より385人、0.3%減少しました。事故の型別では、「転倒」が3万7,195人、「動作の反動・無理な動作」が2万2,166人、「墜落・転落」が2万864人でした。
この統計には通勤中の災害は含まれておらず、事業者から提出された労働者死傷病報告をもとに集計されています。年間全体の数字であるため、休暇明けに限定した増減を示すものではありません。

死亡者数は700人
※出典:厚生労働省「令和7年における労働災害発生状況(確定値)」
令和7年の死亡者数は700人で、前年より46人、6.2%減少しました。事故の型別では、「墜落・転落」が186人、「交通事故(道路)」が126人、「はさまれ・巻き込まれ」が117人です。
高所作業、車両の運転、機械の操作などでは、作業開始前に設備の状態や作業範囲、合図の方法を確認する必要があります。休暇前と同じ作業であっても、確認を省略せず、当日の状況に合わせて準備を行いましょう。
休暇明けに見直したい体調と作業環境
休暇明けに確認したい項目を、体調・作業手順・設備の3つの観点から見ていきましょう。
生活リズムと作業手順を確認する
休暇中は、就寝・起床時刻や食事の時間が普段と変わることがあります。始業前に睡眠不足、疲労感、体調不良がないかを確認し、異変がある場合は管理者へ伝えることが重要です。
また、作業手順、立入禁止範囲、保護具の使用方法、機械の停止方法なども改めて確認します。複数人で行う作業では、担当者と合図の方法を共有し、認識のずれを残さないようにしましょう。
設備・工具・役割分担を再点検する
休暇中に停止していた機械や設備は、再稼働前に安全装置、非常停止装置、保護カバーなどの状態を点検します。工具、足場、通路、照明、床面についても異常や障害物がないかを確認し、不具合があれば使用を開始せずに報告します。
休暇前から工程や人員配置が変わっている場合もあります。「以前と同じ」と思い込まず、その日の作業計画と役割分担を朝礼などで共有することが必要です。
休暇明けに実施したい事故防止策
休暇明けに新しい対策を一時的に増やすのではなく、KYT、指差呼称、設備点検、体調確認などの基本的な安全活動を確実に実施することが重要です。
KYTと指差呼称で危険を共有する
危険予知訓練(KYT)は、作業や職場に潜む危険要因を発見し、解決する能力を高める手法です。作業前に「どのような危険があるか」「何を重点的に確認するか」を話し合い、具体的な行動目標を決めます。
指差呼称では、作業対象や標識、信号、計器類を指で差し、名称と状態を声に出して確認します。機械の停止、保護具の装着、足元、周囲の安全など、作業の要所で確認項目を定めて実施しましょう。
夏季は暑熱順化とWBGTを確認する
厚生労働省の令和8年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要綱の別添「職場における熱中症防止のためのガイドライン」では、夏季休暇などで熱へのばく露が中断すると、4日後には暑熱順化の顕著な喪失が始まるとしています。また、熱へのばく露から4日以上離れていた作業従事者をあらかじめ把握し、巡視の頻度を増やすなど、健康状態に特に配慮することが示されています。
夏季休暇明けは、作業開始前に体調と暑熱順化の状態を確認し、暑さ指数(WBGT)に応じて作業時間や休憩時間を調整します。暑熱順化ができていない場合は、作業時間の短縮も検討します。体調不良者を早期に把握する体制や、作業からの離脱、身体冷却、医療機関への搬送などの手順も事前に共有しましょう。
休暇後は、体調、作業手順、設備、人員配置など複数の確認事項が重なります。特に夏季休暇後は、暑熱順化が失われている可能性を考慮する必要があります。KYT、指差呼称、設備点検、体調確認を確実に行い、焦らず作業を再開することが労働災害防止につながります。
| 題名 | 媒体名 | 著者・運営元名 | URL |
| 令和7年の労働災害発生状況を公表 | 厚生労働省 | 厚生労働省 | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73382.html |
| 令和7年 労働災害発生状況について | 厚生労働省 | 厚生労働省 | https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001704851.pdf |
| 危険予知訓練(KYT) | 職場のあんぜんサイト | 厚生労働省 | https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo40_1.html |
| 指差呼称 | 職場のあんぜんサイト | 厚生労働省 | https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo72_1.html |
| 令和8年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要綱(別添:職場における熱中症防止のためのガイドライン) | 厚生労働省 | 厚生労働省 | https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001676129.pdf |
■執筆者:まひろぃ
Webライター。東京消防庁で約3年半勤務し、安全管理や防火・防災に関する業務に携わる。法令や公的資料に基づいた情報収集と、分かりやすく正確な記事制作を心掛けている。